子供がまだ小さく寝かしつけるのに大変だったころの話です。
ようやく寝た子供がベッドから落ちそうになったり泣いたりしていないか心配になることが多く、家事がやりにくかったのでネットワークカメラ(IPカメラ)で監視すればいいと閃きました。
当時は安価なネットワークカメラが勝手に操作されたり、知らない声が聞こえたという話がチラホラ出始めたころで、そんな噂がある中で常時カメラを起動しておくのが心配なのと、専用アプリが怪しいので使うことを躊躇していました。
そこで記事タイトル通りインターネットから切り離されたLAN(ローカルネットワークエリア)を構築してネットワークカメラを安心して使うことができました。
インターネットから切り離しているため外出先からは見れなくなりますが、寝ている子供を見るためだけだったので十分活躍してくれました。
今はAmazonや楽天で販売されている製品はそこまで心配する必要はないかもしれませんが、私のように心配性の方でネットワークを少し触れるなら、この話がもしかしたら参考になるかもしれません。
ネットワークカメラの概要
インターネットを使用したネットワークカメラのシステムは様々ですが、当時はP2Pと呼ばれる接続方法が採用されている場合が殆どでした。最近の事情には詳しくないので少し変わっているかもしれません。
P2P方式を簡単に説明をするとカメラのデータはサーバーなどを経由せずに端末(スマホ等)に直接送られます。カメラと端末が接続される仕組みですが、初めに専用サーバーでログイン認証をして、カメラの位置情報が特定できれば端末と繋がる仕組みになっています。
細かい部分は省いていますが下図のような感じです。
ネットワークカメラの危険性について
検索で「ネットワークカメラ 危険」で検索すると様々な話がでてきますが、安価なネットワークカメラは脆弱性が残っている場合が多いため外からアクセスされる可能性があります。よくある話がユーザーIDとパスワードが初期値だったりとか聞きます。
それ以前の問題ですが、ネットワークカメラのログイン認証を行うサーバーが怪しい可能性もあります。ネットワークカメラを外から見ようとする場合は、どこかのサーバーでログイン認証を行ってから使用可能になるので、このサーバーの管理者が悪い人であれば覗き見することも可能です。
LANでネットワークカメラを使用する
大手のネットワークカメラならセキュリティーなどは安心かもしれませんが、機器の値段が結構高いため安価なネットワークカメラで安全な方法になるとインターネットから切り離されたLANで使用するしかないというところです。VPN云々の話もありますが割愛します。
個人的に迷わない簡単な構築方法は下図のように別途WiFiルーター(ルーター2)を用意して必要になる機器だけを接続する方法です。
怪しいアプリなどは使わないため構築ハードルは高いですが、頑張ればできると思うので機器が余っているなら試してみてはどうでしょうか。
環境構築
ここから先は環境構築の一例で、全てのネットワークカメラで実現できるわけではないです。
- WiFiルーターはBaffaloのWSR-2533HDPを初期設定のルーターモードで使用します。
- ネットワークカメラはVstarcam C7824WIPを使用します。
- 説明途中のIPは環境によるため違う場合があります。
必要な機器やアプリ
- WiFiルーター
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インターネットから完全に切り離したLANを構築するために必要です。
- スマホ(Android)
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WiFiしか利用できないスマホを使用することをお勧めします。
今回構築する環境ではインターネットに出られないWiFiルーターとスマホを接続することになります。
スマホの機種によりますがWiFiでインターネットが使用できない場合、自動的にモバイルデータ通信でインターネットを使用する機種があります。そのためネットワークカメラの映像はWiFi通信になり、これ以外のデータ通信はモバイルデータ通信になります。 - ネットワークカメラ
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ネットワークカメラは後述するAndroidアプリ tinyCom Monitorのカメラ一覧にあるものが望ましいと思います。
一覧にないネットワークカメラでも使用可能な場合が多いと思いますが手動で設定することになります。
また一覧にあっても100%動作できる保証はないです。ネットワークカメラの管理画面にログインして設定変更をする必要があるため、LANポートがある機器でなければ難しいかもしれません。
- PC
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PCがあると確認作業などがしやすかったり、ネットワークカメラの設定変更をスムーズに行うことができます。
今回使用するネットワークカメラ(Vstarcam C7824WIP)は管理画面にログインするためにPCが必須になります。 - アプリ - tinyCam Monitor
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AndroidのtinyCam Monitorを使用します。ネットワークカメラ購入前ならアプリの対応機種から選んだ方がスムーズに設定ができると思います。
対応機種の確認方法
アプリを起動すると説明が表示されるので最後のページまで進み「Assign ramdom cameras」のチェックボックスをOFFにして完了にします。
チェックボックスをONのままで完了すると世界のどこかにある適当な監視カメラの映像が勝手に設定されます。間違って追加した場合はアプリ内メニューの「Manage Cameras」から削除できます。
Manage Cameras画面の「Add IP camera, NVR/DVR」を選択して「Camera brand」そして「Camera model」から対応機種を調べることができます。
- アプリ - Network Scanner
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Network Scannerはネットワークカメラ管理画面のURLを調べるために使用します。Vstarcam以外の製品だと不要かもしれません。
機器の接続
WiFiかLANケーブルのどちらでも良いのでPCをWiFiルーターに接続します。
ブラウザに「192.168.11.1」を入力するとWiFiルーターの管理画面が表示されます。
管理画面が表示されない場合は、ネットワーク設定を見直す必要があります。Windowsでは図のように「IPアドレスを自動的に取得する」(DHCP)になっていれば接続できるはずです。「次のIPアドレスを使う」(固定IP)になっている場合は、設定を元に戻すためにメモしておいた方が良いです。
また管理メニューに遷移せず「Internet回線判別」が表示される場合は、URLが http://192.168.11.1/auto_detect_judge.html のようになっているので、 http://192.168.11.1/ にしてアクセスします。
管理メニューの「デバイスコントロール」を選択してPCが正しく接続されているか確認します。
ネットワークカメラの電源を入れてLANケーブルでWiFiルーターに接続します。カメラが英語で何か言う場合もありますが無視します。
PCのブラウザで開いている管理画面をリロードするとネットワークカメラが追加されているのでIPを控えておきます。今回はネットワークカメラのIPが「192.168.1.3」になりました。
スマホをWiFiルーターに接続するとインターネットが使えないため、通知に「インターネットに接続できません」のような警告が表示されますが無視します。
アプリを起動してManage Cameras画面まで進み「Scan network」を選択します。
Scanが自動的に開始されるので完了まで待ちます。もちろん完了まで待たずに先に調べたネットワークカメラの項目(IPや機器名で判断)が表示された時点で停止しても大丈夫です。
やっていることはポートスキャンなので、PC側のセキュリティーソフトでアラートが表示されるかもしれませんが無視して大丈夫です。
スキャンが完了するといくつかの項目が表示されます。
「Vstarcam(ONVIF)~」の方を選択して、追加ボタンを押します。
追加した項目の設定を変更するため左上のバーガーメニューから「Manage Cameras」を選択して「Vstarcam」を選択します。
下の方にスクロールしてUsernameに「admin」、Passwordに「888888」を入力します。このカメラの初期設定値です。
一番上にスクロールしてCamera statusが「OK」になっていれば、接続できているので選択すると実際のカメラ映像が表示されます。
カメラのパンなどが動作するか確認する場合は、バーガーメニューから「Live view」を選択して動作を確認します。
もしCamera statusが「Faild」になった場合は、どこかの設定が間違っているので1つずつ調査するしかありませんが、殆どの場合はONVIF、Protocol、RTSP かと思います。
ネットワークカメラの映像がスマホで見れるようになりましたが、IPが自動割り当てのため変更されないように固定IPにします。またWiFi接続の設定も同時に行います。
各種設定を行うにはネットワークカメラの管理画面にログインする必要があります。
ですが、Vstarcam C7824WIPはカメラを起動するたびに管理画面URLのポート番号が変更される仕様のため、ポート番号を調べるところから作業します。
アプリ「Network Scanner」を起動すると自動的にネットワークに繋がっている機器の一覧が表示されます。
ネットワークカメラのIP「192.168.11.3」の項目を選択するか、右上のメニューから「Port scanner」を選択します。
調べるポート番号は「1-65535」で、IPは「192.168.11.3」を入力してSTARTを押します。
そうするといくつかの項目が表示され、どれかが管理画面にアクセスできるポートなのでPCのブラウザから総当たりで入力していきます。
PCのブラウザにURL「192.168.11.3:6786」を入れたらベーシック認証が表示されました。あとはネットワークカメラの映像を見るときに入力した内容と同じでユーザー名「admin」、パスワード「888888」でログインできます。
ブラウザ選択画面が表示されるので環境に合わせたブラウザを選択します。Chromeしか使っていないのでChromeを選択しましたが、他のブラウザで正常に動作するのかは分かりません。
ブラウザからカメラが操作できる画面に入ってようやく設定画面に移動することができます。
Network Settings > Basic Network Settings からネットワークカメラを固定IPにすることができます。
IP Addressは任意ですが、WiFiルーターのIP自動割り当て範囲に干渉しないように「192.168.11.100」を設定しました。
また、管理画面へアクセスするポートが変更されないようにHttp Portを「8888」に設定しました。Submitを押すとネットワークカメラが再起動させます。
次はWiFi機能をONにします。
ネットワークカメラのIPとポート番号を変更したので、URL「192.168.11.100:8888」で管理画面にログインして同じ画面まで進みます。
Network Settings > WiFi Settings に進み、Using Wireless Lanにチェックを入れてWiFiの接続先を選択してパスワードを入力します。最後にSubmitを押して再起動させます。
その他の細かい設定やSystem Settingsからユーザー名やパスワードの変更なども行った方が良いかと思いますが、とりあえず固定IPとWiFiの設定は完了したのでLANケーブルを抜いて大丈夫です。
ちなみに他のネットワークカメラで同様の作業を行った時は、WiFi用の固定IPを設定できましたがこの機種はできないようで、どういう仕組みなのか分かりませんがLANポートと併用してるようです。
最後に固定IPに変更した内容をtinyCam Monitorに反映させて完了です。
構築の手順は多いですが分かってしまえばそこまで苦労はしないかもしれません。Vstarcamで手間なのは管理画面のポート番号を探す必要があるところでしょうか。他のネットワークカメラの場合はIPだけでいけましたが、セキュリティーを考えると自動で変更されるのが妥当なのかなと思いました。
長くなりましたが同じような考えを持っている方の参考になれば嬉しいです。
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