部屋を整理していたら、ゲームボーイアドバンスの『MOTHER3』が出てきました。懐かしさにひかれてNintendo DSでプレイしてみたものの、画面が小さくてちょっときつい…。
それならPCで遊ぼうと思い、ROMを吸い出せるカートリッジリーダーを探してみると、フリマで『CartReader V5』というものが 1.2~1.8万円 ぐらいで出品されていました。
どういう物なのか調べてみると、CartReader V5はオープンソースのカートリッジリーダーでした。対応する機種やオプションを自分の好みで組み合わせられる仕組みになっていて、フリマの価格差もその構成の違いによるものでした。
そこで「自作したら安いかも?」と思い、必要な機能を絞って試算したところ、約9,000円ぐらいで作れそうだったので、必要なパーツをAliExpressで購入して組み立ててみました。
どんな構成にしたのか?

対応機種はフリマと同じぐらいにしました。
- ファミコン(FC)
- スーパーファミコン(SFC・SNES)
- NINTENDO 64(N64)
- ゲームボーイ・カラー(GB・GBC)
- ゲームボーイアドバンス(GBA)
- メガドライブ(MD・GEN)
これだけ吸い出せれば十分ですよね!
一方で、フリマの完成品だとさらに以下のオプションが付いていることが多いです。私は不要と判断したので実装しませんでした。
- snesCIC
- Vselect
- N64コントローラパック セーブ読み書き
snesCICは、SFCの特殊チップ『SA1』を吸い出すために必要な機能です。SA1を採用しているゲームで有名なのは『星のカービィスーパーデラックス』です。特殊チップを搭載しているゲームの一覧はこちら。
自身でこのSA1に対応させるには、別途基盤とICを購入する必要があります。さらにICに関しては専用のライターで書き込むか、書き込みサービスを利用するなど手間が多いです。プラス1,000円ぐらいじゃ済まない気がします。
Vselectは、自動電圧切り替え機能です。機種によって使用する電圧が異なるため、通常は5V/3Vを物理スイッチで切り替えますが、これを自動化します。
パーツはプラス1,000円ぐらいで購入できると思いますが、0.4mm以下の極小サイズのパーツを取り付ける必要があります。
私が導入しなかった主な理由は、3Vに切り替えるのはN64とGBAだけで、画面にも『Nintendo 64 (3V)』と表示されているからです。これなら毎回確認すればいいかなと思って導入しませんでした。
N64はコントローラーパックにセーブデータを保存するソフトがあるため、それに対応するにはコントローラーコネクタを取り付ける必要があります。1つ300円ぐらいで販売されていますが、今のところ必要性を感じなかったので見送りました。
この他に、RTC(リアルタイムクロック)という機能があり、吸い出した日時をファイルやフォルダに付けれるようになるみたいです。
ざっとこんな感じで、オプションを全部付けると自作でも1万円以上必要になります。こうなるとフリマの完成品と大差ない値段になってきます。
では、オプションなしで組んだ場合、どのパーツにどれくらいの費用が必要になったのかを見ていきます。
費用について

以下が今回作成したCartReader V5のパーツ一覧です。AliExpressで購入したものにはリンクと金額を記載しています。
| パーツ | 金額 | 割引後の金額 | |
|---|---|---|---|
| FCコネクタ | 318 | 293 | MDコネクタまで同じお店で購入 |
| SFC・SNESコネクタ | 297 | 272 | |
| N64コネクタ | 336 | 311 | |
| MDコネクタ | 327 | 302 | |
| GB・GBAコネクタ | 377 | 327 | |
| Mega 2560 PRO MINI | 1,654 | 1,424 | |
| MKS MINI12864 V3 LCD | 1,241 | 1,036 | |
| SI5351 clock generator | 429 | 370 | |
| ピンヘッダ メス, 1x40pin 10pcs | 389 | 334 | 公式の購入リストに書かれているように様々な長さのピンが必要になるので、カットして使用します |
| ピンヘッダ オス , long 19MM 1x40pin | 209 | 182 | |
| LCDコネクタ メス, 2X5 10Pcs | 376 | 327 | 2個 |
| スライドスイッチ, 10Pcs | 275 | 236 | 2個 |
| メス-メス スペーサー, M2 18mm 20Pcs | 354 | 301 | 8個 ※ Mega 2560 PRO MINI のホールに入りにくかったので一部加工しました |
| 厚さ1mm プラスチックワッシャー, 100pcs M2x5x1mm | 251 | 186 | |
| ネジセット, M2 440Pcs | 398 | 346 | |
| 電解コンデンサ 470㎌ 35V ※ 購入リストでは 10Vか16Vのパーツを推奨しています | 430 | 371 | 1個 |
| AliExpressで購入したパーツの合計金額 | 7,231 | 6,247 | |
| ジャンパケーブル | 手持ち | 1本 ※Mega 2560 PRO MINI の電源を CartReader から供給するために使用(公式説明) | |
| 抵抗 1KΩ | 手持ち | 1個 | |
| 抵抗 220Ω | 手持ち | 1個 LEDで使用 | |
| LED 3mm | 手持ち | 1個 | |
| SDカード | 手持ち | 1個 | |
| PCB | 2,200 | 2,200 | JLCPCBで製造 |
| 総額 | 9,431 | 8,447 | |
記事タイトルで結果は分かっていますが、総額で 8,500円 になりました。ただし一部のパーツは手持ちを流用していて、工作に必要な半田ごてなどの工具類は費用に含んでいません。もし、手持ちのパーツを購入したと想定するなら9,000円ぐらいになりそうです。
今回AliExpressで購入したパーツは、イベントクーポンを使って約6,300円でした。こうしたイベントは頻繁に行われていて、さらにゲームなどで獲得できるクーポンを組み合わせれば、もっと安くできる可能性もあります。
もしパーツを必要な数だけ調達可能な環境であれば、もう少しコストを抑えることもできそうですね。
おわりに
今回のように機能を絞れば、フリマの完成品より自作のほうが少し安く済むのは確かですが、フリマの完成品にはオプションを含め、3Dプリンタ製の外装ケースが付いていたり、SDカードが同梱されていたりします。見た目の仕上がりも良く、制作にかかる時間まで考えると、1.2万円という価格はむしろ妥当で、十分に良心的だと感じました。
それでも、自分でパーツを集めて組み立てるのは楽しかったです。必要な機能だけを選んで自分好みにできるのも自作ならではなので、工作が好きなら挑戦してみるのも悪くないと思います。
もし制作するのであれば、全体の流れを掴むために公式サイトのHow to buildの内容や動画を先に見るのが良いと思います。
費用は時期や条件で変わりますが、これから作ろうという方の目安になれば幸いです。


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